公立幼稚園の特殊学級

うちの子供は、4歳になった年の9月から公立幼稚園の
特殊学級に入りました。

入園には台北市の教育委員会の審査があり、病院からの推薦状も
必要です。

台湾の新学期は、日本の様に4月でなく米国と同じく9月からです。

普通の幼稚園の中に2クラスだけ特殊クラスがあり、
その年少クラスに入ったわけです。

台北市内に特殊クラスのある幼稚園はいくつかありますので、
二つ見学して、そのうちの一つに決めました。

幼稚園は朝9時から夕方の4時までで、朝ごはんと昼ご飯が提供されます。

昼ご飯だけでなく、朝ごはんも提供される点が、共働きが多くて
両親が忙しい台湾らしいなと思います。

一クラスは約16人の生徒に対して、先生が4人でアシスタントが4人の合計名。
つまり、一人の先生が2名の子供の面倒を見てくれるという体制です。

生徒は広い意味での障害者の子供で、知的障害から身体的障害までですので、
足が不自由なだけの普通の子供もいます。

又、軽度の知的障害の子供は途中で、同じフロアの普通学級に編入出来る
場合もあります。

この幼稚園は教育プログラムが非常に良く検討されて作られている事と、
運動施設が充実している点が良い点です。

まず、子供の基本的な能力の検診を行って、
それぞれの子供の状況に合った「個別教育計画」のファイルを作成してくれます。

ファイルの最初の部分では、その子供の症状や家庭環境及び学校外で
どの様な育児教育を行っているかが書かれており、

次に、学校側の専門家の検査の結果により、現在どの様な能力を
持っているのかが下記の様に記載されます。

1、記憶力、理解力、推理力、注意力等でどの程度の能力を持っているのか。

例えば、水がこぼれない様にコップを持って、自分の席で水を飲めるとか
こちらの指示がどのくらい理解できるとか、こちらと同じ動作を真似する事が
出来るとかいう事や、

弱い点として、同じ物や同じ形の物を集める能力が弱いとか、
色の分類に関して、色に関する認識が弱いとかいう点が
書かれています。

2、言語の理解力、表現力についてどの程度の能力を持っているか。
名前を呼ばれて反応できるか、支持された行動が出来るか、
体の各部位の名前と場所が分かるか、日常会話はどの程度分かるか、
音に対する過敏性はあるか、単語をどの程度理解するかなど。

3、大きな動作や繊細な動作についてについてどの程度の能力を持っているか。
階段の上り下りやボールを投げたりバウンドさせたりする大きな動作や
おもちゃや知育玩具で細かい動作が出来るか、お絵かきや塗り絵は出来るか。

4、社会的な情緒について、コミュニケーション能力や情緒コントロール能力
や問題行動についてはどうか。
大人が離れて一人になると泣くか、又、泣き止んだ後にその場にいられるか、
親が来ると喜ぶか、話しかけられた時の反応や表情はどうか、

5、自己管理能力について、食器の使用やお着換えや靴の履き替えは
どの程度出来るのか。
スプーンやコップを使う事が出来るか、歯磨きやうがいは出来るか等。

6、感覚や知覚に関する能力について、どの程度の能力を持っているか。
物や人を目で追えるか、10秒以上何かを集中して見れるか、
聞かれた事に対する反応や、物を触った反応や味覚の能力について等。

そして、上記を鑑みて、「どんな部分を特に伸ばすべきか」という事を
決めます。

そして、2か月に1回、外部の専門家が「動作」と「言語」についての
検診を行い、その経過状況をファイルに記載します。

学校側では毎月、各分野のチェックリストに記載して、経過状況を
見ながら、その子供に必要な部分を注意しながら子供に接して行きます。

屋外活動の場所は校庭だけでなく、裏には砂場や野菜畑等もあり、
地下には広い遊戯室があり、その中で自転車やジャングルジムで
遊ぶ事も出来ます。

校庭にもジャングルジムや滑り台やブランコ等の設備があります。

学習プログラムは、パズルやお絵かきや知的玩具から読書、
お遊戯や歌や、運動場での運動等、食事やお着換えのトレーニング等の
生活指導もしてくれます。地震や火災の避難訓練等もありました。

お昼ごはんの後は、昼寝です。
日本と違い、台湾の幼稚園にはどこでもお昼寝の時間があるのですが、
ここで寝てしまうと、夜にすぐに寝てくれない事があるので
ちょっと不便でしたが、1時前後の早い時間帯の昼寝であれば、
夜の睡眠にも大きくは影響はしません。

この幼稚園には週末に「宿題」があって、課題となる本を読んでくるとか、
スケッチブックに出された課題の絵や工作を張り付けるというのがあり、
うちの子供はほとんど自分で出来なかったので、私が代わりにやる事が
多かったです。

例えば、ユニークな宿題では、「校門のペイントのデザインを考える」
というのがあり、クレヨンなどを使って、デザインを描いた事も有ります。

年に4回ほどの課外授業もあり、科学技術館に言ったり、ハイキングに行ったり、
する事もありました。

子供の成長具合

2年間の幼稚園特殊クラスの授業を通して、うちの子供がどのくらい成長した
かというと、幼稚園の他にも感覚統合のクラスや言語クラスや脳波治療等も
並行して行っていたので、どの療育の成果がどのくらい出たかと言うのは
判断しにくいのですが、

幼稚園の一番の成果はやはり、先生や同級生とのコミュニケーションによる
社会性の向上であると思います。

幼稚園を中心として生活にリズムも出来ますし、
その時間は親が他の事も出来ますし、公立なので非常に低料金で子供を
預かってくれる事など、色々なメリットがあります。

幼稚園前の大学病院付属デイケア―

子供が幼稚園の年齢に達する前の場合、病院付属の療育デイケアーに
通う事が出来ます。

台湾の場合、幼稚園は3年制(3歳=小班、4歳=中班、5歳=大班)ですが、
幼稚園の特殊学級は中班からの2年制ですので、

それ以下の自閉症や発達障害の子供達は病院付属の療育クラスに任意で
入る事になります。

ここで療育をした後に、普通の幼稚園に通える程度の子供もいますが、
多くの子供は、公立幼稚園の特別クラスに入る流れとなります。

うちの子供も幼稚園入園前の年齢だったので、総合病院の小児科医の推薦で
療育クラスに入りました。

小児科医の診断書による推薦で入るために、健康保険が適用されて
ほぼ無料で療育を受ける事が出来ます。

中国語で「日間病房」と言いますが、日本語にするとデイケアーという
様な意味です。

時間は朝9時からお昼までの、ほぼ半日で、
木曜日がお休みの週4回の療育コースです。

但し、親がずっと付き添わなければなりません。

クラスの内容は、先生を前にしてみんなで同じテーブルに座って
先生の質問に答えたり、先生がしゃべった言葉を繰り返させる事から
始めます。

子供が椅子に座って、その後ろに各親が椅子に座って
後ろからサポートする様な形ですすめられてゆきます。

その後、紙やはさみやクレヨンなどを使った工作やお絵かきの
練習やおゆうぎの練習もあります。

ずっと、椅子に座っていられない子供もいますし、
大声をあげたりする子供もいます。

最後の方では、大き目の教室で体操をします。
よつんばいになって、前進したり、ぐるぐる走ったり、
器具や道具は使わない方法で、運動をします。

体操が終わった後は、再び元の教室に戻り、
みんなでコミュニケーションを取る様なゲームをして
最後にみんなで手をつないで、授業終了の歌を歌って終わりになります。

クラスの途中では、おやつの時間もあって、持ち寄ったおやつを
お互いに交換したり、そのおやつを使って言葉の練習をしたりもします。

あと、授業の中で子供が良くできたら、先生がご褒美として
スナックを与えたりします。

この「ご褒美」を与えるという方法は、ABA等でも使われている方法で、
台湾の病院付属の療育デイケア―の基本的な方針はABAの影響が
強く入っている様に感じます。

この療育に参加して見て、どの様な効果があったのかは
正直見えにくいのですが、これは即効性のある療法というより
特別な保育園クラスという感じですので、日々、こなしてゆく事に
意義があると思います。

他の子供達に触れ合う機会や病院が考えたプログラムが入っている訳ですから、
家にいたり、親子館や公園で一人で遊んでいるよりは
ずっと良いと思います。

又、このデイケアに参加してとても良かった点は、
うちの奥さんにママ友達が出来て、色々と情報交換が出来た事や
何よりも同じような境遇の親達とコミュニケーションを取る事により
精神的な部分で、ストレスが緩和された事です。

それまでは、同じような境遇の親達と触れ合う機会があまりなく、
同じマンションの中で育った普通の子供達の親達には、
うちの子供が自閉症や発達障害だとは言えずに、だんだんと
同じマンションの普通の子供達や親達との交流も疎遠になっており、
結局は、どうしたら良いのかという部分で孤独になっていました。

この自閉症や発達障害のスペクトラムは、人によって症状も
重さも違うし、症状の経過も異なるので、これをやれば良いという
明確な療法がある訳ではありません。

病院の小児科や精神科の先生方も、診断はしてくれますが、
民間の様々な療法を薦めてくれる訳でもないし、その場限りの
診断では、普段から子供がどんな症状でどんな行動を取っているかも
分からないので、病院付属の療育デイケア―を進めてくれるぐらいの事
しか出来ません。

民間の療法に関しては、何の情報提供もしてくれないので、
親が自分達で暗中模索の中を手探りで、自分の子供に最適な
療法を探してゆくしかないのです。

これは、日本も同じような状況だと思いますが、
各地方自治体や自閉症や発達障害の協会がカウンセリングを
してくれるとも聞きました。

台湾では公的な期間が民間の療法を紹介してくれる機会はありません。

そういう意味で、この様なコミュニティーに入る事は、
子供だけでなくその親にとっても重要な事だと思います。

孤立化すると、益々大変になってしまうと思います。

余談ですが、このデイケアのクラスメートの女の子は
自閉症と診断される前に民間の健康保険に加入していたので、
その健康保険から、クラスに参加する毎に自閉症の手当が
毎日もらえたそうです。

金額にすると、台湾ドルで$2000ドル(日本円で約7000円)
ぐらいだったと思います。

一般の健康保険でなく、自閉症や発達障害等もカバーする
民間の保険に追加で入っていたのだと思います。

台湾の保険に詳しくはありませんが、ポイントとしては、
自閉症が分かる前に保険に加入しており、かつ自閉症もカバーする
保険である事が色々と有利に働く様です。