言語療法クラス

自閉症や発達障害では、言葉の発達が遅くなる事が多いのですが、
うちの子供も3歳を過ぎてもほとんどしゃべれませんでした。

2歳半ぐらいの時には、どうにかしなければと思い、
病院の定期健診の時にお医者さんに相談したところ、
公立病院付属の言語療法クラスや知育クラスを紹介されました。

総合病院の建物の中に、幼稚園に入園までの小さい子供達向けの
言語セラピストの部屋があり、週に1回1時間を数か月通いました。

おもちゃや絵本を使って、先生の言った事を子供が
繰り返す様に誘導するのですが、うちの子供はちょっとだけしか
先生の言う事が真似できずに、この時期はほとんど進歩が有りませんでした。

その後、言語療法だけでなく感覚統合や脳波療法等の色々な治療により
5歳くらいから急激に伸びました。

子供の脳の発達は総合的な物なので、運動や知育等との相乗効果で
伸びたのだと思います。

始める時期の判断基準として、
現時点で、他のひとがしゃべった言葉を「オウム返し」で真似出来るレベルであれば、
言語療法クラスに通ってみると良いと思います。

インターネット等では、「オウム返し」その物が発達障害の症状として
問題があるから困っているという投稿を見かけますが、
自閉症や発達障害が分かった初期の頃等(通常は2歳ぐらいで分かる事が多い)
では、「オウム返し」すら出来ない子供もいると思います。

うちの息子はまさにそうで、他の人が話した言葉を真似する事すら出来ませんでした。
真似をしてくれないと、言葉を教える事が出来ずに本当に困りました。

後で分かったのは、とにかく情報のインプットを続けると、それは子供の
内側に残っているので効果はあるのですが、3歳近くまで上手く
口真似が出来なかったと思います。

うちの子供は、聞えていない訳では無いのですが、
何かを話しかけても、何も返答が返ってこないのです。

その理由として、
1、相手の言葉にどう反応して良いのか分からないので何もしない。
2、反応しようとしても、その音を子供の口が発声出来ない。

等がありますが、うちの子供は上記の両方でした。
つまり、相手に話しかけられたり、質問されても、それに対して
自分がリアクションしなければならない必要が分からないという事と、
TやS等の特定の子音の音が出せなかったのです。

例えば、中国語の「有難う」は「シェ、シェ(謝々)Xie, Xie」ですが、
「チェ、チェ」としか言えないとか、そもそもその音が出せない等の
発音障害です。

まず、上記1の問題ですが、
肺活量が弱くて息を吐く力が弱くて声が出てこないとか小さいという要因や
口の周りの筋肉が弱かったり神経が発達していない等の理由で
上手く口を動かせない等の要因もあうと思います。

その様な場合であれば、根本的に体力を上げるような運動クラスに行くとか、
トークツールの様な道具を使って、息を吐く力や口周りの筋肉や神経を
鍛えてみるのもいいと思います。

アメリカの商品で、talk toolという様々な道具のセットがネット等で
販売されており、主に笛の様な様々なツールを使って楽しくトレーニングする
事も出来ます。

その他の対策としては、反応したら褒める事で、
「反応したら良い事がある」という事をわかってもらうトレーニングを
する事が重要な対策だと思います。

また、注意点としては、
例え、子供の反応が良くない場合でも、親の方はひたすら情報のインプットは
続けた方が良いと思います。

その時には出来なくとも、後で何かの拍子にぽろっと以前教えた事が
子供の口から出てきたりするからです。

結構、こういう事があって、「あれっ?だいぶ前に教えた事が何で今頃?」と
驚いた事が何回もあります。

ABAのテクニックでは、子供が何かの状況に面した時に、
「その時に子供が話すべき適切な言葉を親が代わりにしゃべってあげる」という
物があります。

つまり、子供が怒っている時に投げかける言葉は、
「怒ちゃダメだよ?」「何で怒っているの?」ではなく、
「怒ってるぞ、プンプン」という感じです。

子供はその様な状況の時に、何と自己表現していいか分からないので、
親が代わりに繰り返し言ってあげると、子供もその状況に
その言葉を発する事が出来るようになるという仕組みです。

このテクニックを最初に知った時は、目から鱗が落ちる感じでした。

子供は難しい会話が分からない訳ですから、
いくら「怒っちゃダメだよ」とか、健常者の子供の教育で良くありがちな
「子供の話を聞いてあげる」という意味で「何で怒っているの?」
と言っても、自閉症や発達障害の子供は、そういう高度なレベルで躓いているのでなく、
自分の中の意見を発するという事が出来ない段階(子供の年齢や成長度合いにもよるが)
なのですから、ここで大人との会話を始めても仕方がない訳です。

親との会話を成立させようとするのでなく、
子供の内面を言葉に表現させる為のトレーニング方法という事です。

上記、2の「特定の音を発声出来ない場合」は、その音を誘導する様な
言語トレーニングが役に立つと思います。

その様な場合には、言語専門のセラピストに通うのは有用だと思います。

うちの家庭は、父親の私が日本語、母親の家内は中国語で、夫婦の会話は英語で、
子供には中国語を中心に教える環境なので、
セラピストも中国語の先生の元で週1回1時間のクラスを取りました。

先生とマンツーマンで、本や道具を使って、一緒に言葉を繰り返したり、
質問に答えたり、発音の練習をするという授業です。

下記にいくつかの言語療法教室を紹介します。

彭聆語言治療所

この彭先生のセッションの予約はいつも一杯でキャンセル待ちの状態です。
場所は、萬華駅から歩いて3分の場所のマンションの1室。

この様な言語教室の料金は、約1時間NT$1,000(日本円で約3000円)ぐらいです。

1回の時間は約1時間で、彭先生は机に向かって座り、子供を膝の上に乗せて
おもちゃや教材を使いながらマンツーマンで約1時間の授業です。

先生が目の前の本の単語やおもちゃの名前や動作を話してきかせ、
子供がそれを繰り返したり、先生の質問に答える形の授業ですが、
ユニークなのは、約1時間ノンストップで続ける点です。

子供に「言語のシャワー」を浴びせるというイメージですが、
リズムよく間断なく色々なツールを利用して、授業を続けられるのは、
一種の名人芸の様な感じです。

子供が指示どおりに出来た時に、小さなスナックを口に入れてあげたりする
「ご褒美」でうまく誘導したりもしています。

うちの息子は4歳ぐらいの時に半年ぐらい通いましたが、目に見える言語能力の向上は
特にありませんでした。

だからと言って、彭先生の授業が効果無いという訳でなく、
うちの息子の症状には合ってなかっただけだと思います。

彭先生のクラスに通った時点で、まだうちの子供の口真似能力が十分に
発達していなかったので、ついて行けなかったのではないかと思います。

ですので、ある程度、人の言葉を口真似する能力がある子供さんや
既にしゃべる事は出来るが、特定の音が苦手等の症状の子供さんにはいいと思います。

ホームページ

黃自強語言治療所

この先生のレッスンもおもちゃや教材を使いながらマンツーマンで約1時間の授業です。
彭先生の様に、ひざの上に乗せて1時間ノンストップというスタイルでなく、
もう少しのんびりした感じです。

先生は温厚な男性の方で、大手の大学病院の言語治療の担当を経験してから
ご自分で独立された方です。

子供と先生の相性や自宅と治療所の距離の通いやすさ等の条件によって、
合う先生を選んでみると良いでしょう。

ホームページ 

ABAメソッド

ABA療法の考え方とメソッド

自閉症や発達障害で日本や米国で一番有名な療法はABAメソッドでしょう。

特に自閉症の療法としてインターネットや本屋さんで一番紹介されているのは、
ABAやTEECHですが、TEECHは家の中の環境を変える事などに重きをおいているので、
具体的な療法としてはABAメソッドが一番取り組まれていると思います。

また、それ以外の療法もABAやTEECHの影響を部分的に取り入れている事が
多く見受けられます。

ABAとは、応用行動分析(Applied Behavior Analysis)の略で、
1980年代に米UCLAのロバース博士(Dr. O.I. Lovaas)らの研究チームにより
米国で開発されました。

子供が変わった行動を取るその背景に注目し、良い行動を増やして
困った行動を減らしてゆくという方法です。
伸ばした行動には褒めたりお菓子をあげたりという「ご褒美」を与えて増やし、
抑えたい行動には、何も与えない事や軽い不快感を与える事で減らしてゆく
方法です。

社会生活における困難を軽減して、健常者に近い生活が送れるようにする事を
目的とした療法で、障害を根本的に治癒する治療法ではありません。

米国や英国ではABAの公的資格である認定行動分析士(BCBA)があり、
治療を受ける事に対して、医療保険の対象とされます。

ABAの先生の話で、非常にユニークだなと思ったのは、
子供にかけてあげる言葉です。

例えば、子供が怒った場合は、先生や親が投げかけてあげるべき言葉は、
「何で怒ってるの?」「怒っちゃダメだよ、よしよし」等でなく、
「生気(シェンチー)」(中国語で怒っているの意味)等です。

つまり、自閉症や発達障害の子供は自己表現能力が低いので、
彼らの心の声を代弁してあげる様な感じで、
この様な時はこういう風に言うんだよという事を訓練する訳です。

又、抱っこしてあげる事は、ABA療法でいうところの「ご褒美」なので、
泣いたりごねたりした時に、まずは落ち着かせる為に抱き上げるのは
逆効果となります。

泣いたのに抱き上げたら、泣いたことにご褒美をあげる事になるので、
子供はもっとやるようになるという事なのです。

こういう事を日常生活の全てで、延々と続ける事が子供の行動力や表現力の向上に
つながるという事で、実際、うちの子供の表現能力は上がったと思います。

もちろん、これだけでなく質問形式で、家族でドライブしていたら
お母さんが子供に「誰が車を運転してるの?」「パパ」という様な
問答を子供に投げかけて、最初は、その答えをお母さんが言ってあげて、
徐々に子供が自分で答えるように訓練して行きます。

台北のABAの教室

台湾にもいくつかのABAメソッドの教室がありますが
うちの子供が3歳の時に最初に通い始めたのが、台北市内湖区の芙爾德教育中心です。

ホームページ 芙爾德教育中心

この教室の創始者の先生は米国育ちで米国で児童心理学の博士号を取得している方です。
本場の米国でABAメソッドの研究や訓練を受けて、それを台湾で広めている先生で
著書も出版されており、雑誌等でも取り上げられています。

一クラスは約90分で子供には一人づつ担当のスタッフが付きますが、
クラスの一人の先生の指示を全員が聞いて進行してゆく様なクラス形式です。

0-3歳の幼児、入学前の2-5歳の子供、小学校以上の学童の年齢層で分けており、
その中でも曜日やいくつかの時間帯によって、いくつかクラスがあります。

うちの子供は、週に2回くらいのクラスを取って半年くらい通いました。

この教室は、商業プラザの2階のテナントの様な形で入口の受付応接間の奥に
10人くらいでお遊戯出来る様な少し広い部屋やトイレ等のスペースがあり、
その部屋の手前と奥に二つの教室があり、その他、一部屋はスタッフの控室があります。

靴を入れる下駄箱には、それぞれの子供の顔写真と名前が貼ってあります。
教育玩具を入れる棚にも、それぞれのおもちゃの写真が貼ってあります。

この様に写真や図を使って、子供に認識させたり誘導したりする方法は、
ABAと同じくらい有名なTEECHメソッドの影響ですが、良い部分は取り入れている
様です。

クラスでは、本やおもちゃ等を使って、子供の反応や表現をトレーニングします。
授業の最後には、みんなで広い部屋に集まって、
布のトンネルをくぐったり、目標まで物を運ぶという作業を、代わりばんこに
行います。

この芙爾德教育中心では、親が自閉症の子供にどう接して、家庭でどの様に
ABAのメソッドを子供に教えるかと言う事も色々と考えており、
親が受講するクラスも設定しています。

又、ABAクラスを取っている子供の親達が毎月集まって、先生からアドバイスを
受けたりする懇談会も開催しています。

芙爾德教育中心は、その特徴として4つのポイントを挙げています。
1、国外の機関の最新のABA療法の手法の動向をいち早く取り入れる。
2、教室と親と子供の三角関係の連携で子供の発展を考える。
3、それぞれの子供の症状に合わせた教育計画。
4、米国のABAの資格BCBAを保有する袁校長が講師を育成するコースも併設しており
講師の能力を充実させている。

現在、うちの子供は距離的に自宅から少し通いづらいという事や幼稚園の
特殊学級が始まった事や
このABAに通っていた時期は、うちの子供の言語の認識能力や情緒の不安定さも有り、
半年ぐらい通って一区切りとし、一時期ABAは中断しました。

その後、幼稚園の他に脳波療法や感覚統合のクラス等のトレーニングにより、
知能が向上したり情緒も安定してきましたので、
現在は、他のABAの教室にも週何回か通っていますが、
台北市内には、ABAの教室がいくつもありますので、ご興味あれば
インターネットで検索して見て下さい。

料金は100分で800台湾ドルぐらいです。

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